平成23年度受講生による授業紹介

2011年度講義情報

平成23年度受講生による授業紹介です。科目名、内容が現在とは異なる場合があります。

生物情報科学特別演習・実験I、II【1】
卒業研究のテーマとして私が選んだのは「腸内細菌の生態系」についてです。ヒトには人間一人を構成する細胞の数よりもさらに多い数の菌がいて、互いに成長を助け合ったり、競合したりしています。近年、DNAシーケンス技術の飛躍的な進歩によって研究がどんどん進み始め、アレルギーや癌、肥満その他多くの疾病にかなり大きく影響するのではないか、と予感させる報告が相次いでいます。そのような研究の成果から、医療応用を求める声も多いのですが、腸内細菌の生態系は非常に微妙なバランスのもとに成り立っており、個人差もかなり大きく、現状の知見のみでは予測できないようなことも多いため道のりは遠いのが現状です。そのために卒業研究ではマウスを使って、腸内の全長にわたって細菌叢の変化を調べ、菌同士がどのような関係にあるのか、どのようなネットワークを作っているのかを調べました。また、個人差や、食べ物の影響を超えて共通に見られる腸内細菌の生態系の特徴を抽出し、その特徴を利用した数理的な生態系のモデルについて考察しました。

 生物情報科学特別演習・実験I、II【2】
私の卒業研究は、ある酵素がDNAのどこをメチル化してどこをメチル化していないのかを調べることによって、その酵素の特徴や生体内での役割を探るというものでした。初めの数カ月間はひたすら実験し、先行研究の再現性を調べたり、DNAの抽出の仕方を探ったりしながらシーケンサーに送るサンプルを調整しました。シーケンサーでDNAのメチル化状態を調べた後は、今度は打って変わってひたすら計算機を使って解析しました。メチル化の特徴の仮説を立ててはプログラミングコードを書き、計算機に投げて結果を見、そこからまた新たな仮説を立てるという繰り返しでした。実験でもそうでしたが解析は特に自由度が高く、自分がやりたい事を何やってもOKという感じでした。本当は壮大なモデルを立てて、それに対するフィッティングを調べようとか考えていたのですが、時間と自らの力不足のせいでそこまではできませんでした。結果には大いに不満が残りますが、充実した卒研ライフを送れたと思います。

 生物情報科学特別演習・実験I、II【3】
現在のDNA配列解析は、DNAをA,T,G,Cからなる文字の並びとして捉えて、遺伝子の機能予測や、遺伝子発現のメカニズム解明、ある酵素やタンパク質、薬などが結合するDNA配列の特徴発見などに大きく貢献しています。しかし実際には、DNAはただの文字列ではなく、小さな核に収まるために毛糸玉のような形をしています。このDNAのマクロな構造が転写制御を始めとしたさまざまな機能に影響を及ぼしています。つまり、より高い精度の配列解析や、今まで見落とされてきたDNA配列の性質、未知な遺伝子制御機構を見つけるためには、DNAの核内における立体的な配置を考慮することが必須になります。わたしの研究では、ヒストン修飾などのエピゲノム情報に注目して、DNA核内構造を決定するドライビングフォースを探っています。