平成22年度受講生による授業紹介

2010年講義情報

平成22年度受講生による授業紹介です。科目名、内容が現在とは異なる場合があります。

【第4学期科目】生物情報学基礎論Ⅱ
この授業では、バイオインフォマティックスの研究とはどのようなものであるのかを学びます。バイオインフォの研究とは具体的にどのような実験と解析を行い、何を解き明かすのか、従来の生物研究とはどのような点が異なり、どのように問題が複雑なのか、といったことを学びます。また、基本的な分子生物学的な知識やゲノムに関する知識も紹介してくれます。担当は程先生、黒田先生、伊藤先生、服部先生でした。評価はレポートでした。

【第4学期科目】計算機システム
コンピューターの動作原理について学ぶ講義です。ハードウェア的な内容が中心で、プログラミングとはまた違った内容を勉強します。近年のコンピューターは、複雑な計算、より大量のデータを、より高速で処理するために、さまざまな技術を利用しており、その技術も日進月歩で進歩しています。生物情報分野の研究では、大量のデータを処理することが多く、処理時間やメモリの制約上、ハードウェアの動作特性を念頭に置いたプログラミングをする必要があり、そのためのハードウェアの動産原理的な知識を学ぶ基礎となる講義です。ハードウェアに詳しくない多くの人にとっては、なかなか理解が大変な講義です。情報科学科の講義で、担当は石川先生でした。評価は試験で、出席はとっていました。

 【第4学期科目】アルゴリズムとデータ構造
 ソートプログラムを主な題材に、様々なデータ構造とアルゴリズムを学ぶ講義です。プログラムで同じ処理をする際でも、アルゴリズムやデータ構造が異なれば、実行にかかる時間は変わってきます。あるアルゴリズムでは数日かかってしまうような処理でも、他のアルゴリズムに書き換えることで、数時間で動作するようになる場合もあります。また、高速な分メモリを大量に必要とするアルゴリズム、逆にメモリはあまりいらないが低速なアルゴリズム、処理にかかる時間の上限が論理的に決められるアルゴリズムなど、様々なタイプがあり、作成したいプログラムがどのような性質のものであるのかによって、採用すべきアルゴリズムやデータ構造は変わります。そのため、代表的なアルゴリズムとデータ構造の長所短所を理解することで、実際にプログラミングをする際に、高速に動作するプログラムを作成することができるようになります。大量のデータを解析する生物情報の研究では、必要不可欠の分野です。情報科学科の講義で、担当は五十嵐先生でした。

【第4学期科目】情報科学基礎実験
4学期における生物情報科生にとっての最大の難所です。「実験」という名がついていますが、ひたすら課題をこなす実習型の講義です。初めはC言語の教科書を読み進め、プレーステーション3(PS3)を用いたアセンブリプログラミング、応用的なC言語プログラミング、Schemeという言語を用いた関数型言語実習などを行います。プログラミングは座学で身につくようなものではなく、実際に自分でプログラムを書いていかないと身につけることは出来ません。課題の量が多く、全くプログラミング経験がない人にとっては、かなり負担となる講義です。しかし、できないからといって課題を貯めこむと、学期の終わりごろには詰んでしまうので、地道な努力が必要とされます。疑問点は授業中に先生やTAに聞くことが出来ますし、メールで質問をすることもできます。3年時以降は更にハードなプログラミングの演習がありますので、大変ですがここでプログラミングの基礎を学ぶ必要があります。頑張ってください。情報科学科の講義で、美添先生などが来てくださいました。

【第4学期科目】情報数学
コンピューター科学で使われる数学を学びます。集合や関係、代数系などの数学を講義しますので、数学の苦手な人にとっては大変かもしれません。授業は毎回ごとに違うテーマの講義が行われます。初めの授業で教科書がいくつか紹介されますが、すべてのテーマを網羅した教科書がありませんので、図書館などを利用して勉強する必要があるでしょう。1冊程度は手に入れることをお勧めします。情報科学科の授業で、担当は須田先生でした。

 【第4学期科目】形式言語理論
オートマトンやチューリング機械の原理等、コンピュータプログラムがどのような概念で動作をしているのかを学びます。教科書は先生が作成したものを初回の授業時に配布されます。オートマトンの原理は、生物情報の研究の世界でも、数理モデル構築などで利用されることがありますので、概要程度は理解しておいてもよいかと思います。生息言語、文脈自由文法などを勉強しますが、個人的には難しすぎて不可りました…。担当は宮野先生でした。

 【第4学期科目】生物化学概論 I
タンパク質の構造や酵素反応などの、生物化学の基礎を学びます。講義の前半は、アミノ酸の種類と構造式、特性の紹介から始まり、αヘリックスやβシート、βバレルなどの代表的なタンパク質の2次構造、3次構造などを学びます。講義の後半では酵素反応速度論を学び、ミカエリス・メンテン式やその派生系(基質阻害、競争阻害など)を学びます。分子生物学を学ぶ上での基礎となる内容ですし、3年の必修科目である生物科学実験では、糖分解酵素を用いて、実際に酵素反応速度を求める実験なども行いますので、履修をお勧めします。なぜか試験が小柴ホールで行われました。生物化学科の講義で、前半の担当が濡木先生、後半の担当が深田先生でした。

 【第4学期科目】細胞生理学
分子生物学的な内容の講義です。細胞膜の構造や輸送、神経細胞における電気パルスの発生原理、神経系や筋肉系の細胞の生理機能などの紹介がありました。分子生物学というよりは生理学的な講義ですので、個々のタンパク質や遺伝子を深く扱うのではなく、生命現象そのものをメインに扱う授業です。生物学科の講義で、担当は岡先生、神谷先生、廣野先生でした。評価は試験でした。

 【第4学期科目】生物統計学
統計学の講義です。特に生物実験においては、得られるデータが非常に多く、また、ばらつきが大きいことが多々あります。そのようなデータを解析する際は、統計的な処理が必要とされます。解析は単純に機械的に平均値を求めればよいとういうものではありません。実験系の組み立て方や得られたデータのバラつき方や、どのようなデータの変動要因があるのか、などによってデータの処理の仕方は変わってきます。この講義では、さまざまな統計解析のモデルとその手法を学び、どのように選択すればよいのかを学ぶことができます。統計学の講義ではありますが、数学的な議論というよりはむしろモデルの概要の紹介がメインの概論的な講義ですし、先生の講義も非常に丁寧なので、数学にそこまで強くなくても理解することができます。生物学科の講義で、担当は三中先生でした。評価は、レポートが3回ほど出されました。

 【第4学期科目】遺伝学
生物の遺伝についての講義です。前半はいわゆる遺伝のメカニズムを学び、後半は集団遺伝学を扱います。メンデルの法則から始まり、どのような仕組みでゲノム情報は遺伝していくのか、その際にどのような処理(組み換えなど)がされているのか、等について学びます。集団遺伝学の講義では、生物の集団の中で、どのように遺伝子が発生し集団に広がり淘汰されていくかを、数理モデルを用いた数式で表現できるということを紹介されました。私が履修していた時は一度、Sience誌に掲載されたNASAの論文の紹介がありました。試験は何故か小柴ホールで行われました。生物科の授業で、前半の担当は米田先生、後半は嶋田先生でした。

ゲノム生物学
この授業では、生物情報科学の主なターゲットとなっているDNA、RNAなどの遺伝情報に関する生物学的な知識を学習しました。DNAの複製機構やタンパク質の翻訳機構という比較的メジャーな分野から、DNAやヒストンにメチル基を付加することでその遺伝子を不活化するメチル化や、20数ベースのRNAがmRNAに相補的に結合することで発現を抑制するmicroRNAをはじめとする機能性RNA、そして転写されたmRNAの塩基を部分的に修正することによって機能を付加するRNA編集、といったような専門的なところまでが、この授業でカバーされていました。授業形態がパワーポイントであったため、詳細な図のあるレジュメに先生の説明を書きこむ、という形で授業を受けることができ、分かりやすくコンパクトに知識をまとめることができました。どの分野を扱っているときも論文から取られたデータとともに説明がなされていたため、生物分野の論文を読むことの大切さや、データの見方を学ぶことができたのも有意義でした。また、データからどのようなことが示唆されるのか、という言及がなされたのも非常に印象的でした。 授業の進行度に関しても、学生が生物系と情報系で分かれていることを考慮して、はじめの授業で小テストを行ってから授業内容を決めていて、なおかつ授業中に学生から質問があれば適宜カリキュラムを変更するなど、学生がより授業の理解を深められるような考慮がなされていました。また、miRNAが先生の専門分野であったこともあり、まさにmiRNA研究の最先端を授業中に聴き、質問をし、回答を受けることができました。

オーミクス論
従来の生物学の実験は一つの遺伝子など少ないターゲットを扱うものがほとんどでしたが、この授業では多数の遺伝子の発現情報などを、大量かつできるだけ偏りなく集める実験方法について学習しました。特に、ゲノムを高速に読んでいくためのシーケンサーの原理や、タンパク質の相互作用や発現、局在状況を網羅的に調べるプロテオミクス、DNAがどのような修飾を受けているかを広範囲で調べるエピゲノム、そして多数の遺伝子の発現量を調べるトランスクリプトームなどが授業の中心でした。どの実験手法を紹介する上でも、ただ実験手法を丸暗記させるのではなく、「その実験は化学的にはどのようなものなのか」などの原理を明らかにしていくものだったため、授業の内容をしっかりと自分のものとして定着させることができました。さらに、最先端の実験手法が歴史的にどのように発展していったのか、という観点からの解説もふんだんにあり、非常に興味深いものでした。また、その授業への姿勢からか、学生から頻繁に質問が飛び、先生がそれに答える、というフィードバックのある活発な授業でした。さらに、毎回、授業内容と関係のあるクイズに近いものが課題として出され、それを解くことによって知識の定着が図られていました。 プロテオミクスの回では、タンパク質を専門に扱っている先生を呼んでの講義でした。そこでは、タンパク質の質量分析に関して、実際に実験に携わっている方ならではのお話を聞くことができました。その後の実験で、実際にタンパク質の質量分析を行ったときに、そのとき得た知識を役立てることができ、実験原理を理解することの大切さをこの授業から学ぶことができました。

生物情報ソフトウェア論
生物情報ソフトウェア論では、バイオインフォマティクスで用いられるアルゴリズムについて学びます.この分野は日進月歩で進歩していることもあって講義内容についても一定しない部分があると思われますが,昨年度の講義では接尾辞木の構築アルゴリズムやBW変換を用いた文字列探索をはじめとする配列の探索・比較アルゴリズム,及び並列処理における基本的な考え方が取り扱われました.こういったアルゴリズムの動作原理,計算量の時間及び空間的なオーダーや実装上の問題点といった特徴について学ぶことが出来ます.こういったアルゴリズムの中にはここ数年のうちに発表された,まだ一般的な教科書には載っていないものもあります.講義で取り扱われた内容の実装はこの講義時間中では行いませんが,三年冬学期の演習で行います.講義の内容は少し難解ではありますが,是非ともよく内容を理解しておくとよいでしょう.

生物ネットワーク論
この授業では、現代にいたるまで生命科学や社会その他の分野でどのようなネットワークのモデルが作られ解析されてきたのか勉強する。扱う内容は、グラフ理論の基礎とよく使われる用語の定義、ネットワークのモデル化がどのように発展してきたか、パーコレーション、ページランクなど、扱う内容も生物に縛られず非常に多岐にわたる。授業の担当は有田先生で、授業ではオリジナルのレジュメと黒板を使った解説がメインとなる。2期生の時は、レポートとテストがあったが、レポートでは関連する論文を自ら選んでまとめたり、モデルについてプログラムを作ったり近似をしてみながら各々自由に考察したりするとても自由度の高いものだった。先生自らの意見やこだわりも授業のすみずみに垣間見られ、学生と先生との積極的なやりとりも多い。生物学にネットワーク理論を用いる比較的新しい試みを学部生が体系的に把握できる、チャレンジングな内容の授業。

システム生物学
システム生物学は,生体内の系のシミュレーションを行い,重要な役割を果たす要素は何か,どういった振る舞いが意味を持つのか,といった視点から生物を知ろうとする学問分野です.この学科で三年次に開講される講義には大量の生物データを計算機で処理・解釈する方法についての講義が多いのですが,この講義はそれらとは少し趣きが異なるので,生物と取り組む上で少し異なる視点を提供してくれるでしょう.講義では生物の系におけるフィードフォワードやフィードバックによる制御の例,反応拡散波による生物の形状のシミュレーションなどが取り扱われます.数理的な解析が必要な分野ですが,講義内容に関していえば数学的知識はそれほど要求されず,教養課程の微積分や線形代数の知識があれば十分講義を理解できます.また,時間割の上でも他学科の方に聴講しやすいような配慮がされていますから,他学科でも興味ある方は聴講されては如何でしょうか.

ゲノム配列解析論
前半を浅井先生、後半を木立先生が担当する。前半は隠れマルコフモデルを使った隠れ状態の推定やパラメータ推定法について、またそれらを使って、配列同士の類似度を計算するペアワイズアラインメントなどについて学ぶ。3年冬学期の生物情報科学情報基礎実験の課題の内容とよくリンクしており、授業を受けた後に課題をこなすことで、より深い理解ができるようになる。後半はRNAの2次構造予測の手法について学ぶ。そののち系統樹解析法に入り、ゲノム時代に合わせて発展している確率モデル的手法についても説明される。こちらも、授業で扱う内容の多くは生物情報科学情報基礎実験の課題の内容にもなっており、よりよく復習することができるようになっている。この講義を通してシークエンス技術の目覚ましい発達により得られるようになった膨大なデータに今どのようなアプローチがなされているのか、について幅広く学ぶことができる。

生命情報表現論
生物情報表現論は,生物から得られたデータやそれらを解析するための問題を,計算機で処理できるような形で表現する方法についての講義です.昨年度の講義で取り扱われたテーマの一つは,命題論理及び問題の計算量クラスに関する議論です.命題論理はさまざまな問題を記述する上で大きな力を発揮します.そうして記述された問題がどのような計算量クラスに属するのか,ということも重要なポイントで,これらがこの講義のテーマの一つです.もう一つの大きなテーマは生物学のデータベースに関する議論です.現在,生物学の分野ではさまざまな文献や実験データが存在しており,それらは生物学の研究を進める上で欠かせないものとなりつつあります.しかしそれらの情報量はあまりに膨大であり,また記法の不統一やデータベースの不整備などの問題もあり,そこから必要としている知識を得るのは困難を伴います.この講義では,そういった生物データを取り扱うための技術も学ぶことができます.

生物データマイニング論
前半を中谷先生、後半を森下先生が担当する。前半はおもにCTスキャンの仕組み、数値の可視化、輪郭抽出、グラフカットによる補正、などの画像処理を扱う。これらの理解に必要な数学としてフーリエ変換についても学ぶ。生物情報科学情報基礎実験の課題は、ほぼこの内容に沿って課題が出されながら進むため、より理解が深まるようになっている。また2期生の授業時には、前半の講義の最後に中間テストが行われた。後半は、生命科学で用いられる統計の基礎知識から始まり、決定木、adaboost、ナイーブベイズ分類、SupportVectorMachineなど、クラス分類問題(教師付き学習)やクラスタリング手法について学ぶ。先生が黒板にプロジェクターでスライドを写し、チョークで印をつけながら具体的な例を説明してくださるのがとても分かりやすい。両授業ともレジュメとスライドで授業が進められた。

環境ゲノム情報学(1)
自然界に存在する微生物のうち実験室で分離・培養することができるものは全体の1%以下であるといわれているが、それ以外の99%を解析する手法として近年注目を集めているのがメタゲノム(metagenome)解析と呼ばれるものであり、本授業ではこのメタゲノム解析について主に扱っている。メタゲノム解析では各細菌を分離・培養するのではなく、腸内などから取ってきた細菌をそのままショットガンシークエンスし、得られた配列データをバイオインフォマティクスの手法を用いて解析するということが行われている。これにより従来までは研究が困難であったヒト腸内細菌や深海に住む微生物に関する知見が得られており、今後も広がりをみせていくことが期待されている。授業のスタイルとしては、メタゲノム解析に関する概論的な講義に加えて、各自がメタゲノム解析に関連する論文を読みプレゼンテーションを行うというものであった。メタゲノムに関しては未だにわかっていない部分が多く、全体として興味深い授業だった。

環境ゲノム情報学 (2)
はじめの2、3回は講義で、後は学生が1人ずつ論文を紹介する輪読形式。論文紹介は1時間程度で、スライドを作るなどきちんとした準備が必要。準備は大変だが、その分勉強になる。誰がどの論文を紹介するかは、はじめの段階で話し合いによって決める。そこでどの論文の内容に興味が持てるかを見抜くことが重要。当たり前のことだが、内容に興味を持てると準備、発表も楽しくできる。ただし、準備の段階で徐々に興味を持てるようになる場合もあるので、敢えてはじめは興味の持てない論文を選ぶことも良いかもしれない。もう一つ重要なこととして、自分の発表が終わってもそれ以降の授業に出席することである。そうしないと発表順序が最後のほうの人は聞き手がほとんどいない状態で発表することになる。例えほぼ全員が熟睡していたとしても、聞き手の姿が見えるかどうかで、話す側の緊張感は異なってくるものである。

環境ゲノム情報学 (3)
本講義は担当教官である服部先生が指定するシークエンス技術やメタゲノム解析などに関する論文の中から、学生がそれぞれ担当する論文を決め、その内容を各人が発表するといういわゆる輪講形式の講義である。メタゲノムという言葉に聞き覚えのない人が多いと思うが、メタゲノム解析とは例えば腸内細菌叢のように環境中に存在する微生物のDNAをまとめてシークエンスし、得られた配列から微生物の組成などを解析する分野であり、腸内細菌叢の組成が種々の病気と関連があることが示唆されるなど、近年注目されてきている新たなシークエンス分野である。また服部先生は日本におけるヒトゲノム計画の第一人者でもあり、武勇伝ともいえるその体験談は非常に興味深くまた刺激的なものであり、いろいろと話を伺ってみることを強く勧める。

環境ゲノム情報学 (4)
従来の微生物ゲノムシークエンスでは、微生物をまず単離し、また培養する必要があった。しかしながら、ヒトが現在培養できる微生物は全微生物中の0.1%以下であると言われており、多くの微生物のゲノム情報をそのままでは入手する事が出来ない。メタゲノム情報解析は、微生物の単離・培養を経ずにシークエンスを行い、得たゲノム情報から新規遺伝子の発見やまた環境と遺伝子との関連を解析する研究手法である。環境ゲノム情報学では、このようなメタゲノム情報解析についての講義が行われる。メタゲノム解析は、最新の研究テーマであり定番の教科書は存在しないため、論文の輪読が講義のスタイルとなる。まず2回ほど服部先生による分野の概説があり、その後各人1回ずつ先生の指定した論文の発表を行う。論文発表後に、服部先生による補足及び追加説明があるが、最新の研究内容のみならず、ヒトゲノム計画の裏話やらグラントの話などためになる雑談も多く、いろいろな意味で勉強になる。また、最後の2回は東工大の黒川先生により生物学的観点のみならず情報科学的な観点から講義がなされる。

数理生物学 (1)
4人の先生が3回ずつ担当した。受講していたのは10人程度で、必修科目でないということもあり、生物情報科学科の学生は少なかった。
 4/20~5/11は新領域創成科学研究科複雑理工学専攻の岡田先生の担当だった。先生は話し慣れしている様子で、スライドなど見ずに話していた。先生は、「研究はビジネスです。」とおっしゃった。実際、先生はシュッとしたジャケットをはおり、シュッとした靴を履いて、ビジネスマンのようだった。いろいろなデモを見せては、「どうですか?感動しませんか?」と学生に尋ねていた。学問の話というよりは経営者の哲学を聞いたという印象だった。それはそれで有意義だった。
 5/18~6/1は物理学科の佐野先生が担当された。講義は基本的に板書で進み、一部補足資料が配られた。先生はあまり表情を変えず、淡々と話す印象だったが、3回という限られた時間でどれだけ完結した内容とするか心を砕いておられるように見えた。あまり詳しくは書けないが、先生がどうやって成績をつけたか定かでない。
 6/8~22は医科学研究所のヒトゲノム解析センターから来た井元先生の担当だった。先生はもと統計の研究をされていたらしい。「僕はなんでこの研究をしているかというと、ポストがあったからです。」、「理学部3号館はこっちのほうにあるんですね。焦ったら汗をかいてしまいました。」など、ゆっくりと落ちる話にみな癒された。
 6/29~7/13は理化学研究所から来た望月先生が担当された。この頃になるとかなり外は暑くなっていたが、北向きでかつ木の葉によって光が遮られていたためか、先生がさわやかな印象だったためか、理学部3号館310室には涼しげな風が吹いていた。今考えると、たぶん冷房だった。レポート課題として、「数学や物理学の理論を用いることで、新しい発見や解決が得られそうな、生物現象や生物学上の課題を見つけなさい(or考えなさい)」という問題が課された。僕はしばらく考えて諦めた。生物以外のバックグラウンドを持ち、生物にかかわること(データ解析、システム)を研究している先生方の話を聞くよい機会だと思う。

数理生物学 (2)
生物情報科学科に属していない先生方によるオムニバス形式の講義。脳の視覚情報処理の物理学的手法を用いた研究や、ベイジアンネットワークを用いたシグナル伝達の解析など、ドライな理論を生命現象の解析に実際はどう応用できるのかということについての話が聞ける。生物情報科学科で学んできたこととは少し角度の異なる内容なので、新鮮で面白い。また、脳の視覚情報処理についての講義では先生の話し方がとてもうまく、注意深く聞けば、聞き手を惹き込む話し方のコツを盗めるかもしれない。ただ、あまりに話がうまいので、何も考えずに惹きこまれてただ感動するだけに終わらないように注意が必要である。

数理生物学 (3)
本講義では生物学における事象を数理的にとらえ解析するシステム生物学の分野の中で、ネットワークに関する話を中心に、複数の先生方から種々の研究対象においてどのようなネットワーク構造を構築しどのように解析しているかを学ぶ。本講義はあくまでも生物学におけるネットワークの利用を研究内容に即して初歩的なことから説明するものであり、生物を数理的にみるという話が好きな人にはとても面白い内容であるので、離散数学が理解できていないからといって億劫になることはなく受講してはいかがだろうか(誠に遺憾ながら筆者も離散数学を理解できていない)。また本学科生にとっては必修であるが冬学期に開講されている「生物ネットワーク論」を受講していればより理解が深まるため、他学科から聴講される人はこちらも受講されることを勧める。

生物情報科学特別講義Ⅰ (1)
オムニバス形式の講義。おそらく教員は情報生命に属している(違うかも)。内容は、X線結晶構造解析の理論、分子動力学法の理論、計算を製薬に応用するための理論など。どの講義でも、難しい内容を図を交えてわかりやすく噛み砕いて説明してもらえるので、注意深く聞けばよく分かる。ただし特にX線結晶構造解析の話は本質的に難しい内容なので、もちろん注意深く聞かなければ途中で分からなくなる。また、計算を製薬に応用するための理論の講義は、研究室ローテーションでお台場に行ったときにほぼ同じ内容の講義を受けることができる。

生物情報科学特別講義Ⅰ (2)
この講義は必修ではないものの4年時の夏学期で「生物情報科学特別演習・実験Ⅰ」が入っていない月曜に開講されており、バイオインフォマティクスの熱い分野の一つであるタンパク質などの立体構造に関する話を伺え、また単位数の関係からも本学科生にはおおよそ必修の講義だと考えていいだろう。講義はオムニバス形式で、大きく分けてX線構造解析法の説明、タンパク質のシミュレーション、タンパク質3次元構造予測の3つのトピックからなる。X線構造解析法の説明では、実験的なタンパク質立体構造の解析手法であるX線解析法が、どのような原理で結晶化タンパクから立体構造を解析しているのかを詳しく解説する。ちなみにX線構造解析の原理は非常に複雑であり、残念ながら筆者は理解できなかった。タンパク質のシミュレーションでは、分子動力学(MD)に基づき、粒子間に働く力学的な力をもとにタンパク質の立体構造の動的な変化をシミュレーションする方法とその意義を学ぶ。タンパク質3次元構造予測では、計算機を用いてアミノ酸配列からタンパク質の立体構造を予測する手法などを学び、ついでその応用として立体構造を基に活性部位等に作用するような薬剤の設計に関する先端的な知見を学ぶ。

生物情報科学特別講義 Ⅱ (1)
この講義は必修ではないものの、「生物情報科学特別講義Ⅰ」と連続した時間で開講されており、2つセットで本学科生にとってはおおよそ必修の講義と考えていいだろう。本講義では実際の研究内容に即しながら、可視化の手法とその解析を学ぶ。可視化とは通常は観測できないようなものを例えばGFPを用いることで間接的に観測できるようにする技術であり、GFPの一連の研究がノーベル賞を取っていることからわかるように重要な実験技術であるといえる。また可視化の手法は単にGFPを導入するだけでなく、さまざまな条件のもとで可視化を行うことが可能となってきている。そのため可視化によって何を観てどのように解析するかが非常に重要であり、本講義では先生方が可視化を利用してどのような研究をされているかに注意しながら聴講するといいだろう。なお情報科学的な画像処理の話ではなく、あくまで実験手法とその結果の解析に関する話であることに注意されたし。

生物情報科学特別講義Ⅱ(2)
情報生命と理研の先生によるオムニバス形式の講義。内容は、ハエの脳の構造の網羅的解析、一分子生理学、蛍光プローブを用いたライブイメージングなど、どちらかというとウェットよりで、解析対象がミクロな物についての話が多い。ミクロな物を解析することの難しさ、面白さ、重要さがよくわかる。ハエの脳の網羅的解析は今まさに進行中の分野、一分子生理学や蛍光プローブを用いたライブイメージングは少し進展はしているもののまだまだ未完成な分野であり、研究の前線についての話を聞くことができる。

【生物情報科学情報科学実験】(OS演習) 
生物情報科学情報科学実験は情報科学科の人たちと合同で行われる演習(情報科学科での名称はシステムプログラミング実験,通称OS演習)で,コンピューターのシステムについての理解を深めることを目的として,シェルやマルチスレッドアプリケーション,ネットワークサーバーなどの実装を行います.これらは基本的にLinux上でC言語を用いて行います.演習という名前がついていますが,講義時間中に課題が提示され,簡単な解説があったのちに各自で実装を行い,オンラインで成果物を提出するという形で進められていきます.生物情報科学科の人たちの中にはプログラミングを始めてまだまだ日の浅い人も何人かいることだと思いますが,率直に言えばそういった人たちにとってこの演習はかなり大変なものだと思います.わからない部分については一緒に学ぶ仲間たちと教えあったり,TAさんに質問をしながら課題を進めていくといいでしょう.

生物情報科学生命科学基礎実験/生物化学実験】
前半は生物化学科の先生方が、後半は生物情報科学科の先生方が担当する。前半では、大腸菌を使ったDNAワークや、タンパク質を扱う実験などを行う。実験ノートのつけ方や、器具・薬品の扱い方について学んでいく。実験原理については説明があることもあるが、基本的に予習する必要がある。また、レポートを実験ごとに提出する。時間がかかる実験の時には、班によっては夜の8時や9時まで残ることもあるが、実験の班分けでは生物化学科と生物情報科学科の生徒は混ざった班になるので、とても仲良くなる。待ち時間が長くなる実験も多いので、他の授業の課題をしたり、実験レポートを書いたり、本を読んだり遊んだりと、みな思い思いに過ごす。後半は、基本的には情報基盤センターでMatlabなどのソフトを用いてデータを解析するのだが、RNAを扱ったり、柏に行ってのシーケンサー実習があったりと、比較的新しいウェットな実験手法も学ぶ。こちらもレポートを提出する。

【情報基礎実験】
この授業では、他の授業で学習したさまざまな生物情報で用いられるアルゴリズムをプログラムして、実際の生物データに適用する、という実習を行いました。アルゴリズムを座学で学ぶのと、実際にプログラムをするのとの間には大きな隔たりがあるため、3年冬学期の午後のほとんどをこの実習に費やすことになります。具体的には、複数本の塩基配列の類似度を計算するアラインメントや、CT scannerで得られた画像を解析して体内構造を可視化する画像処理や、塩基配列から進化の関係を推定する進化系統樹など、扱う分野は多岐に渡っています。基本的に使用するプログラミング言語が自由なため、学生一人一人が自分に使いやすい言語を使って実装することができます。課題に適したプログラミング言語を勉強してそれを使う、という人もいました。両者とも自分の使うプログラミング言語を深く学ぶことができます。その上、使うデータが実際の生物のものであったので、リアルな知見が得られるのもやりがいの一つでしたし、自分でさらに新しいアルゴリズムに挑戦して面白い結果を出している人もいました。このように実習の内容を自分で工夫できるのは、情報系ならではだと思います。3年夏学期までは、学科で学ぶ言語は主にC言語のみなので、今年から実習のはじめにC++やJavaといったオブジェクト指向プログラミングの導入がなされるなど、実習をしっかり進めるための配慮がありました。学科のほとんどの人が学科に進学した段階ではプログラミング経験の全くない人たちでしたが、1年近く学科でプログラミングを学んできたある種のまとめだと捉えています。

【生物情報科学特別演習・実験Ⅰ、生物情報科学演習I】 (1)
冬学期以降に卒業研究を行う配属先を決めるに当たって、各研究室をローテーションで回り研究内容に関連した実験、実習を行う授業である。研究室は本郷、柏、お台場の各キャンパスにあるので、実際に行ってみて普段は見ることができない計算機や実験設備を見学することも出来る。実習内容としてはウェット系では実験、ドライ系ではプログラミング実習を行うのが一般的であった。本授業での研究室見学を踏まえたうえで研究室配属を行うことになるが、実習を行う際に研究室の方達と交流することができるので、各研究室の研究内容や雰囲気を知るうえで非常に参考になる授業であった。学期末には各人の希望に基づいて研究室配属を行い、冬学期からはおのおのの研究室で卒業研究を行うことになる。

【生物情報科学特別演習・実験Ⅰ、生物情報科学演習I】 (2)
(研究室ローテーション) 私たちの次の学年ではシステムが変更になったようだけれども、新しいシステムについては良く知らないので、私たちの年の様子を紹介する。 研究室ローテーションでは、生物情報科学科に属する研究室を短期間ずつローテーションしながら実習を行うというものである。浅野、柏にある研究室では、学生全員が全ての研究室を回り、お台場にある研究室では、いくつかある研究室の中から2つを選ぶという形式だった。生物情報科学科では研究室が浅野、柏、お台場にあり、普段は柏とお台場に行く機会がないので、研究室ローテーションではそこにある研究室の雰囲気を味わうことができる良い機会となった。ただし、ドライ系の研究室の場合、実習といっても行うことはパソコンを使ったものなので、実際に柏やお台場に行く意味は全くない。ドライ系の研究室については、柏、お台場それぞれ1日で全研究室を見学し、後の日程は浅野で実習を行うというようにすれば、教員の負担増大と引き換えに学生の負担は大幅に減少しただろう。

【生物情報科学特別演習・実験Ⅰ、生物情報科学演習I】 (3)
4年時の夏学期の午後の時間帯をほとんど占めるこの演習は、本学科に所属する先生方の研究室を回り、その先々で適宜課題を行っていくとう形式の演習である。この演習の意味としては、各研究室に実際に行きその研究内容に触れることで冬学期に行われる卒業研究さらには大学院に進学する際の研究室の決定において参考にするというものである。これはすなわち卒業研究は実質的に冬学期から始まることを意味しており、他の学科と比べ所属する研究室の決定が圧倒的に遅く、不安に思う学生も多いだろう。しかし大学院に進学する学生が多いと考えられることを考慮すると、研究室の決定というものは修士課程、博士課程、さらにはその先にも大きな影響を与える可能性がある。また8月には院試もあり、早い段階で研究室を決定しても卒業研究に専念できるというわけではない。そのため時間をかけてでも研究室の決定に情報と猶予を与えてくれるこの演習は、学生を配慮した優しい一品といえるだろう。

【生物情報科学特別演習・実験Ⅰ・Ⅱ、生物情報科学演習Ⅰ・Ⅱ】 (1)
1期生は、まず4月~6月にかけて各研究室を回り、7月頭に所属研究室を選び卒業研究に入った。(しかし、8月には院試があるため実質的な研究に入ったのは9月からである。) 私は3年生の時の実験及び研究室回りで実験系を回った時に、実験には向いていないようだと感じたため、情報系の研究室を志望した。学生数に対して研究室数の方が多いため、よほど偏りがない限りは希望研究室に所属できると思われる。研究の大雑把な流れは、以下の通りである。9月は先生から頂いたデータに関連しそうな論文を読み、自身のテーマやアプローチ法を考えていた。10月に入ると、9月に考えた方法の実装や検証を行ったがうまく行かなかったので、11月半ばごろに先生のアドバイスに従い研究の目的を若干変更し、再度関連する論文や書籍を読み進めつつ、実装などを行った。12月も終わる頃には、結果らしきものが出たため、1月は先行研究を読み直しつつ、論文を作成した。研究内容で一番困ったところは、知識不足により論文を読んでも意味が良く分からない部分が多くあったというところかと思う。私は育種学の研究を行ったのだが、研究を始める前に品種改良法についての知識があった訳ではないため、まず品種改良の用語を正しく理解する事から始めねばならなかった。のみならず、育種学は統計学と強い関係があるため、先行研究を読むと最新の統計学にも深く通じていないと読みこなせない論文が多くあり(Geneticsに載っているものは大半がそうである)、統計について勉強不足であった自分は非常に苦労した。が、知識がない分野に突っ込んでいっても勉強すればなんとかなるだろうという経験が得られた事は有意義であったように思う。

【生物情報科学特別演習・実験Ⅰ・Ⅱ、生物情報科学演習Ⅰ・Ⅱ】 (2)
卒研の際に所属する研究室は、学生の話し合いによって決めた。偶然希望がうまくばらけたので、ひとつの研究室に希望が殺到した場合にどうやって決めるのかはわからない。私は卒研を黒田研で行ったので、黒田研での卒研の様子を紹介する。 卒研で黒田研を選ぶ最大のメリットは、卒論を書いたり発表用のスライドを作ったりするときに、黒田先生、スタッフの方々、修士、博士の先輩が本当に親身になってアドバイスをしてくださるところだと思う。卒論や発表は、自分ではうまく説明できているつもりでも、初めて聞く人にとっては意外とわかりにくくなっている場合が多い。発表で作成者が気付けないわかりにくい点を指摘してもらえたり、一般に論文を書くときに意図が良く伝わる文章構成を教えてもらえたりと、私個人的には卒研の内容よりもはるかに重要であると思うことを学ぶことができた。この点だけでも、学生の間に一度は黒田研に所属しておく価値は十分にある。

【生物情報科学特別演習・実験Ⅱ、生物情報科学演習Ⅱ】 (1)
4年時の冬学期にあるこの講義はいわゆる卒業研究にあたるもので、配属された研究室の先生に指導をいただきながら研究を行い、最終的には卒業論文を書き最後に口頭発表をおこなうものである。たいていの場合はこの学期までには必要な単位は全て取得済みであり、この学期は時間割など関係なく卒業研究に専念するという形になるはずだ。これまでの講義では短期間で単純に課題をこなすということが多かっただろうが、ここでは半年間かけて研究課題に取り組むことで、研究に必要な知識なども身につけつつ一通りの研究の流れを経験することで、実際の研究に対する理解がきっと深まるだろう。ちなみに私の時は、卒業論文はStructured Abstractsを英語で1枚程度、本文は日本語で5~10枚程度で、口頭発表は発表12分、質疑3分という設定であった。余談であるが、本学科の先生方の半数程度は柏キャンパスに研究室があり、これら研究室に所属する場合は卒業研究も柏キャンパスで指導を受けると考えられ、大学院も柏キャンパスの研究室に内定している1人暮らしの人は9月ごろに柏キャンパス方面に引っ越すという選択肢もあり、その場合本郷キャンパスに講義を受けに行くのは面倒であり、その意味でもこの学期までに必要単位は全て揃えておくことを勧める。

【生物情報科学特別演習・実験Ⅱ、生物情報科学演習Ⅱ】 (2)
授業内容としては、各々が研究室に分かれて卒業研究を行う。卒業研究の成果は卒業論文としてまとめるとともに、2月中旬にある卒論発表会でその内容について15分程度のプレゼンテーションを行うことになる。実際に研究室に配属になってから卒業論文をまとめるまでの期間が短いので、実習は密度の濃いものとなる。